北原大翔のA ④ 話題のロボット心臓手術ってどうなの?1 (心臓外科医師12年目 男)

2018-05-26

北原大翔のAは、メールアドレスkitaharahiroto@yahoo.comに寄せられた質問、相談に対して、北原大翔が実際に答えたAnswerを紹介しています。質問者の悩みや問題を解決するお手伝いをするとともに、自らの成長を促すことを目的としています。

 

Q:ロボット手術(ダビンチ)に興味があり、先生が時々ブログでロボット手術に関してコメントしているところを目にして、色々と聞きたいなと思い連絡しました。

ロボット手術の基本的なやり方(例えば大動脈遮断とかどうしているのか)とか、先生がどのように関わっているのか、今後日本でも広がってくると思うのかとか。あと、ロボット手術ならではのトラブル等、また今後小児 心臓への応用も期待できるのかなどなど、本当に忙しいところ申し訳ないのですが、教えてもらえれば幸いです。

北原大翔のA:ロボット手術はシカゴ大学のドクターバルキーという人が毎日のようにやっていて、僕はそこにフェローとして入ることが多いです。僕もロボット手術に興味があったので、バルキーのデータをまとめて論文や学会発表をしたり(喜ぶので)して機嫌をとり、徐々にロボットのコンソール内での手技の機会を増やそうとたくらんでいるところです。今はLIMAを降ろしたり、左房を閉じたりと単純なことのみやらせてもらってる感じです。それ以外の時間はコンソールで手術を眺めるか、コンソールが二つ無かったときはテーブルサイドアシスタント(専属のPAが全てやっています)からロボットのアシストの仕方を教わったりしています。ロボット手術は半分はこのテーブルサイドアシスタントにかかっていると言っても過言ではないと思います。日本では(アメリカでの他の施設では)おそらく医師がやるのだと思いますが。

通常ロボット手術というと僧房弁形成が一般的ですが、バルキーはむしろバイパス術のほうが多い傾向にあります。そのほか、不整脈関連の手術、心膜炎、先天性(大人)など幅広くやっており、オフポンプ手術を非常に好んでやっています。僧房弁などのように大動脈遮断が必要な症例では21か23Frの送血管を足から挿入し、エンドバルーンを全例で使っています。遮断がうまくいかなかった場合や途中でずれてしまった場合でもクランプに切り替えず、少し冷やしてVf arrestにしてそのまま手術を続けます。まぁなんとかなっていますが、心筋保護など大丈夫かな、と不安になることはたまにあります。
日本でも今後ロボットの使用は増えていくんじゃないかと思います。ただ、症例がよほど多いところではないとなかなかチームとして安全にロボット手術を遂行するのは大変なのかな、とも思います。シカゴ大学は年間200例くらいのロボットをやっていますが、それでもスムーズに行かないことは多々あります。ロボットならではのトラブルに機械の不具合がおきて人工心肺中、あるいは心停止中にロボットが止まってしまう、なんてこともあります。また、アームの交換時などに心臓やグラフトを損傷することも考えられます(シカゴでは見たことないですが)。ロボットアームの干渉がロボットアーム同士、肋骨肩、腰などあらゆる場所で起こるため、その度にずらしたり押したりなどして解消していかなくてはいけないところがストレスフルです。このように多々起こるトラブルを解決していかなくてはいけず、術者に求められるロボットの経験はかなり大きいのかと思います。術中は術者が離れたところにいるので、皆ヘッドセットをつけてお互いの会話がしっかりできるようにしています。これだけのdisadvantageを抱えている中、MICSで割りと安全に手術できるようになっているのにそんなに傷跡や術後の回復度合いが変わらないロボットを使う意義があるのかについてはよくわかりません。ただ、今後のデバイスの進化とともに、より有用なものになっていくことは間違いないと思っています。
子供に対しての適応もデバイスの進化が必要かと思います。たまに、すごく小さい人、BMI17くらいの人がいたりするのですが、めちゃくちゃやりづらいです。また、安全面を考えたときにどちらがより安全かといったら、間違いなくopenだと思うので、子供の手術となると、まぁ親の選択ですが、openにするのが普通じゃないかと思います。成人の先天性でPAPVCの手術とかをロボットでやっていましたが、ロボットアームに接続されたスタビライザーで心臓を少し持ち上げて視野展開し、オフポンプでうまいことPVと左心耳を吻合していました。こういうのはロボットの利点をすごく有効活用している手術かな、とは思ったことがあります。
話は変わりますが、先生の病院でロボットに興味ある看護師さんとか、医療事務の女子とかいませんかね?いや、深い意味はないんですけど。もしいたら僕がシカゴ大学ロボットツアーをコーディネートしますよ。はい。いや、下心とかはないですから。

卒業年度:2008年
現在勤務地:旭川医科大学
所属:心臓外科

2018年の8月にシカゴ大学の心臓外科フェローを終えました。質問などあれば気軽に連絡ください。

メール:kitaharahiroto@yahoo.com

face bookアカウント:北原大翔~モテたい心臓外科医、米国へ渡る~

10件のコメント

  • 真匿名 2018-05-27 at 12:15 AM

    アメリカの平均的な外科医90%がRIMAすら使わない中、立派です!!

    • 北原 大翔 2018-05-27 at 12:26 AM

      ありがとうございます。バルキーに言っておきます。ただ、オフポンプvsオンポンプと同じように、シングルvs両側内胸で5年の予後が変わらないというRCTもあったりして、今んとこどうなるかわかんないですね。

  • 真匿名 2018-05-27 at 12:00 AM

    RIMAわ?

    • 北原 大翔 2018-05-27 at 12:02 AM

      60%くらいは両側内胸動脈を使ってますね。

  • 真匿名 2018-05-26 at 11:30 PM

    radialは使いますか?

    • 北原 大翔 2018-05-26 at 11:48 PM

      内胸動脈しか使いませんね。他のグループはveinとかradial使ってるみたいですが。

  • KO 2018-05-26 at 1:33 PM

    留学する前からそうやん

  • KO 2018-05-26 at 1:29 PM

    僧帽弁な

    • 北原 大翔 2018-05-26 at 1:31 PM

      漢字間違えてますね。これがアメリカ留学の弊害ですね。

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