伊藤久人 先生

留学施設 1. Intermountain Medical Center, Salt Lake City 
2. University of Texas Health Science Center, San Antonio
留学期間 2007年-2010年
留学に必要だった資格 ECFMG, USMLE step3、テキサス州免許
留学中の立場 クリニカルフェロー
留学施設の特徴 年間症例数 両施設とも年間7-800例の開心術
術者 258例  第一助手 431例(ともに開心術のみ)

私は卒後5年目の2007年に米国臨床研修の機会を得ました。米国ユタ州、ソルトレークシティーのインターマウンテンメディカルセンターにて心臓外科フェローのポジションを頂き、ここで2年間研修しました。ここではステップバイステップ方式で、冠動脈バイパス術、大動脈弁置換術などの標準的手術を、アテンディングの監視下に執刀できるまで育てて頂きました。
その後、テキサス大学で1年のアドヴァンストフェローのポジションを頂き、ここでは冠動脈バイパス、弁置換術が主でしたが、心移植、補助人工心臓植込み術、大動脈基部置換術、僧帽弁形成術、また肺手術、食道切除術など幅広く執刀する機会がありました。また一般外科レジデントや医学生を前立ちにしたり、時にはジュニアフェローの指導的助手をすることで、手術をコントロールする訓練をさせて頂きました。また手術室外でのトレーニングのウェイトが大きいこともこのプログラムの特徴でした。基本的には大学病院と在郷軍人病院、その隣の私立病院のローテーションで、各病院にフェローをチーフとする、一般外科レジデント、ナースプラクティショナー数名で構成されたチームをつくり、診療にあたっていました。チームで早朝回診をし、ベッドサイドでフェローがひとりひとりの患者について治療の方針を決定し、それを回診後にチームが実行するというシステムでした。(もちろんチームの責任者であるフェローは回診後に各アテンディングに電話で患者の状態、治療方針について報告し、同意を得ます。)回診後にはすぐに手術が始まるので、回診とアテンディングへの電話だけで、毎朝戦場にいるような忙しさでした。手術が終わると、だいたい一日2,3件のコンサルトが待っており、これらの症例については、まずフェローが患者を診察し、手術適応の有無、手術方針について自分で検討し、その後、アテンディングと相談し、最終方針を決定するという流れでトレーニングを受けました。夕方に再びチームで回診し、業務終了となりますが、オンコールの日はここから忙しい夜が待っています。オンコールは全ての病院をクロスカバーし、ICUでの術後管理やER、循環器内科からの緊急コンサルトをこなします。一時期は私を含めてフェローが2人でしたから、平日は一日おきに、週末は隔週で、金土日連続のオンコールというスケジュールでした。40時間働き、8時間休みというサイクルはハードでしたが、胸部銃創、外傷など、夜間ならではの緊急症例も多く経験することができました。また木曜日は1日中外来で、紹介患者のアセスメントや術後患者のフォローアップをします。アテンディングがどのような視点で紹介患者を診て、手術を請け負うのか、そのプロセスを勉強するのは非常にためになりましたし、また自分が執刀させて頂いた方々の術後経過を知ることも楽しみのひとつであったように思います。
アメリカでは師匠やメンターと呼べる外科医、同僚フェローたち、コメディカルの方々、また多くの友人に恵まれ、充実した時間を過ごせたと思います。