津久井宏行 先生

留学施設

McGowan Institute for Regenerative Medicine, University of Pittsburgh

100 Technology Drive, Pittsburgh, PA 15219, USA

2003年1月-2004年3月

Research Fellow


University of Pittsburgh Medical Center

200 Lothrop St. Pittsburgh PA, 15213, USA

2004年4月-2006年6月

Instructor


University of Pittsburgh Medical Center Passavant

9100 Babcock Blvd. Pittsburgh PA, 15237, USA
 2006年7月-2008年12月

Clinical Fellow


留学に必要だった資格:ECFMG certification
 
留学施設の特徴

University of Pittsburgh Medical Center (UPMC):

UPMCの中核病院、心臓を始め、肺、肝臓、腎臓、膵臓等の移植が多い。人工心臓の臨床経験も豊富


University of Pittsburgh Medical Center Passavant:

UPMCの関連病院の一つ。

一般心臓外科症例(Valve、Coronary、Aortic)を心臓外科医1名、fellow 1名、Physician Assistant 2名で年間450例をこなしていた。


留学中の経験症例数

術者
CABG: 300

Valve: 200

Heart Transplant: 40

Heart procurement: 35

Lung transplant: 35

Lung procurement: 55

VAD implantation: 15


第一助手
CABG: 150

Valve: 100

Heart Transplant: 15

VAD implantation: 30


体験談

2003-8年までの6年間の留学を振り返ってみますと、豊富な臨床経験そのものが得がたい経験であったことは言うまでもありませんが、それにも増して大切なのは、自分のキャリア形成を真剣に考え、それを実現していくためにはどうしたら良いか?ということを考え、実践できたことにあるように思います。

臨床留学を志望した理由は、「今の環境では、十分な臨床経験を積むことができず、自分はまともな心臓外科医になれないのではないか?」というあせりのようなものでした。では、どうすればよいか?と考えた末の選択枝に臨床留学という方法に辿り着いた訳です。しかしながら、それを実現するためには、さまざまなハードル(留学先探し、ライセンス、ビザ、資金繰り、医局とのかかわりなど)が立ちはだかっていることを実感し、実践を中止する理由はいくらでもありました。しかし、「まともな心臓外科医」になりたいという思いは変わらず、少しずつクリアしていきました。その過程で、家族や上司、同僚などの手助けもあり、周囲に対する感謝を感じる瞬間に何度も遭遇し、「自分は他の人によって、生かされているなあ」と実感できたのも大きな収穫です。

ハードルを乗り越えて留学を開始した喜びも束の間で、実はそこからが本当のstruggleの始まりでした。今度は、「文化・習慣の違い、言葉」など、日本に居たら体験しないような苦労が続きます。しかし、これにも順応していくことで克服できることを体感していきます。また、「文化・習慣の違い、言葉」を苦労と感じるのは、自分が「日本」という物差しでしか、社会を評価できていないことに起因していたことに気付くにもそれほど、時間を要しませんでした。仕事では、自分の「商品価値」が世界の中では如何に低く、頼りないものであるかということも実感せざるを得ない場面に何度も出食わし、落胆することもしばしばでした。しかしながら、「どうしたら、自分の商品価値を上げられるか?」ということを考え、実践し、成果を出して行く楽しさは、何物にも代えがたいものでありました。

こういった経験をしてきて実感するのは、自分の人生を充実させるためのコツは、たとえ、今不遇であっても、自分の境遇や環境に不満を漏らして時間を浪費するのではなく、与えられた環境の中でいかにそれを最大限に活用する方法を探り、実践して行くかということでした。それを繰り返して行くうちに成果は必ず表れ、次の大きなステップや幸運が到来し、さらに楽しい日々を送れるという正のスパイラルが回り始めるということに多くの人の気付いて欲しいと思います。このコツさえつかめば、毎日が楽しい日々です。

これから、留学を目指す若い外科医の皆さんには、「研究」、「臨床」の成果を得るためのみに留学をするのではなく、「自分の人生を楽しく過ごすための方法を探るために留学する」という少し大きな視点で留学してほしいと思います。そうはいっても、現実に即すると目の前のことで、一杯一杯でしょうから、「若手心臓外科医の会」の諸先輩方の意見に耳を傾け、ぜひ、活用してください。若い人たちが活力にあふれ、がんばっている姿を後押ししたくて、ウズウズしている人たちの集まりですから。