渡辺 成仁先生

留学施設 University of California, San Francisco Division of Pediatric Cardiac Surgery, San Francisco, CA
留学期間 2009/7~現在
留学に必要だった資格 USMLE step 1, step 2CK, step 2CS
留学中の立場 Clinical fellow
留学施設の特徴Total 350/year (Pump 250/year)
留学中の経験症例数
術者 4例
第一助手 年間症例数のほぼ半分

○体験談

東京女子医大心臓血管外科で6年の練士期間を終了し、卒後10年目から臨床留学することになりました。東京女子医大には、教授や医局長をはじめ研究や臨床で留学を経験した方が多く、日本や海外との違いを知り、漠然と何だか凄そうという認識をもっていました。私自身、学生時代はUSMLEそのものを良く知りませんでしたが、将来を考え、USMLE certificationを所得することにしました。その中でUSMLEのみならず、アメリカの病院の探し方、履歴書の書き方、ビザの理解など現実的な課題を知り、改めて臨床留学まで大変さを知りました。そして、様々の方々から情報を得て助けて頂き、なんとか臨床留学までこぎつけたのは、大変幸運だったと思います。

私が現在住んでいるサンフランシスコは、人口約790000人。朝晩は冷えますが地中海性気候のため一年中気温の差があまり無く、気候的にも住みやすい都市です。急な坂やゴールデンゲートブリッジを覆う深い霧が多いことでも有名で、fog cityとも呼ばれます。アメリカの中でも日本から近く、また治安もよいため観光名所となっています。ケーブルカー、クリント・イーストウッドの映画「アルカトラズからの脱出」やショーン・コネリーの「ザ・ロック」のモデルにもなったアルカトラズ、高級ブティックが並ぶunion square、ヨセミテ国立公園や今年松井選手がくるオークランドアスレチックスのすぐとなり町となっています。

そんな恵まれた環境にもかかわらず、アメリカでの生活や仕事では、試行錯誤の毎日でした。やはり英語、communicationの難しさを実感しながら毎日をこなす中でいつの間にか1年が過ぎ、少しずつ英語が聞き取れるようになったのを覚えています。また、日本と違い手術時間、入院期間が短いことも戸惑いました。病院業務は、2人の執刀医、2人のclinical fellowと3人のnurse practitioner, physician assistantでこなしており、手術に集中しやすい環境になっています。正規のclinical fellowではないため、執刀症例数の確約はなく、手術のある日は毎日7時半に手術室へ行き、第一助手か第二助手を行い、執刀医が下りたあとの止血や閉胸をしています。心臓移植はありませんが、Truncus arteriosus type 4 など様々な疾患があり、またNorwood 手術の30-day survivalは 97 %となっています。火曜日は7時半からconferenceがあり、土日は回診後ドレーンを抜いたり、Informed Consentを取ったりします。正規のresidentが来ることはまれな為、外国人のclinical fellowで業務をまかなっています。隔週でon callになりますが、ICU勤務医がいるため当直はありません。

臨床留学は、留学のプロセス、英語、日米の文化やシステムの違い、生活面やその後のキャリアなど、いろいろな課題はありますが、大変やりがいのある選択肢の一つだと思います。興味がある方は、是非チャレンジしてみてください。